「モモ」
ミヒャエル・エンデ
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家族も家もない主人公のモモと、人間から時間を奪う灰色の男たちの物語。
小学生の時に好きだったなぁと思い出しながら、久しぶりに読んでみると、
毎日、
「時間がない!時間がない!」
って思っている今の自分に、
グサグサ刺さってきました😱😱😱😱😱
「モモ」ってこんな話だったけ?と、初めて読む本のような、感覚に。
1973年に書かれた本っていうのが、またすごい。
「子どもは将来の人的資源だ。これからはジェット機とコンピューターの時代になる。こういう機械をぜんぶつかいこなせるようにするには、大量の専門技術者や専門労働者がひつようですぞ。どころがわれわれは、子どもたちの明日のこういう世界のために教育するどころか、あいもかわらず、貴重な時間のほとんどを役にもたたない遊びに浪費させるままにしている。このようなことは、われわれの文明にとっての恥辱、将来の人類にたいする犯罪ですぞ!」
こういう声を聞いて、時間貯蓄家たちは目のさめる思いがしました。そしてこのころにはもう大都会にはすごくたくさんの時間貯蓄家がいましたから、この人たちの説得は短時間のうちに効をそうして、市当局はおおぜいの放置された子どものためになにかするひつようを、みとめるにいたりました。
そこで各地区ごとに、<子どもの家>と呼ばれる施設がたてられました。大きな建物で、めんどうを見てくれる人のない子どもはぜんぶ、ここに収容されなくてはいけないことになり、親が手のあいたときに家につれてかえります。子どもが道路や緑地そのほかで遊ぶことは、厳禁になりました。そういうところを見つかったりすると、たちどころにちかくの<子どもの家>につれてゆかれます。そして親は、さだめられた罰金を払わなければなりません。
モモの友だちとても、この新しいきまりからのがれられません。みんなはそれぞれの住む地区にしたがって、べつべつに<子どもの家>にほうりこまれました。こういうところでなにかじぶんで遊びを工夫することなど、もちろんゆるされるはずもありません。遊びをきめるのは監督のおとなで、しかもその遊びときたら、なにか役にたつことをおぼえさせるためのものばかりです。こうして子どもたちは、ほかのあることをわすれてゆきました。ほかのあること、つまりそれは、たのしいと思うこと、むちゅうになること、夢見ることです。
(岩波少年文庫127「モモ」p275~p276より引用)
過去におこったような、未来におこることのような物語。
「モモ」は大人が読むと、さらにおもしろい本だと思います。
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