「ケミストリー」ウェイク・ワン
小竹由美子 訳
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ボストンの大学院の研究室で日々実験を重ねるも得意だったはずの化学の研究はうまくいかず、博士号取得はドロップアウト寸前。同棲中の彼からのプロポーズにも答えが出せず……。血のにじむ努力で中国から移民してきた両親の期待に応えられない自分をもてあます、リケジョのこじれた思いが行きつく先はーーー。ユニークな語り、そぎ落とされた文章から滲み出すあたたかさが胸を打つ、愛と家族と人生のものがたり。中国系アメリカ人作家のデビュー作。PEN/ヘミングウェイ賞受賞。
(「ケミストリー」より引用)
化学の研究も恋愛にも、そして両親との関係も息詰まった「わたし」の心の声。
随所に散りばめられた、理系のトリビアを読むたびに、
もしかして、理系の人って、こんなふうに日常生活でも、自然現象とかを分析しながら生活してるの??
と、驚いてしまいました😵😵😵
そして、この本を読むまでは、
中国系アメリカ人
と聞くと、
目標に向かって突き進み、けっしてブレない人
というイメージだったんです。
10年くらい前に読んだ、
エイミー・チュアの「タイガー・マザー」のイメージ!!!
「ケミストリー」では、
そんな超人的な中国系アメリカ人の
人間的な部分を、
ちょこっと見せてもらったような気がしました。
ところで、この本を読もうと思ったきっかけは、
翻訳家・村井理子さんのレビューを読んだから。
村井さんがカナダで過ごした高校時代の話。
この話が好きすぎて、正直、最初は「ケミストリー」のレビューが頭に入ってこなかった!
そっと抱きしめてあげたいーーウェイク・ワン『ケミストリー』
[レビュアー]村井理子(翻訳家)
今から三十年も前の話になる。当時高校生だった私は、カナダのトロントにある女子高の寄宿舎で学んでいた。石造りの古めかしい校舎の片隅にある四階の建物で、百人を超える学生たちと生活を共にしていたのだ。当時、寄宿舎に日本人の学生はほとんどいなかったが、中国系移民の子女である学生は多かった。彼らは総じて成績優秀、品行方正、そして大変な努力家ばかりだった。
(BookBangより引用)
このように、村井理子さんの寮生活の話が始まります。
そして、同じアジア系ということで、仲良くなった中国系の生徒の話が続きます。
ある日の深夜、私は寄宿舎の暗い廊下にあった電話で母に国際電話をかけ、声を抑えて泣いていた。なにが理由だったかは忘れたが、とにかく私は母に泣きついていた。声を抑えていたのは、その電話が真面目な中国系の彼女の部屋の前に設置されていることが理由だった。ドアの隙間から漏れる灯りで、勉強をしていることがわかっていたからだ。彼女に嫌味を言われたくなかった。散々泣いて、私がようやく電話を切ったとき、彼女が部屋から静かに出てきた。私は慌てて謝った。すると彼女は静かに「だいじょうぶ?」と私に聞いた。予想していなかった優しい言葉に面食らった私がだいじょうぶだと返すと、彼女はおもむろに私を抱きしめた。
(BookBangより引用)
この部分を読んで、私も学生の時、思わず母に電話したことを思い出し・・・。じーん💧
そして、この中国系の生徒のその後が書かれているのだけど、これがまた
結構意外😍😍😍
すごく心に残るレビューでした。
「ケミストリー」と同時にこの村井理子さんのレビューも是非読んでほしいです。
村井理子さんのレビューの全文はこちら
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