「香料商が語る東西香り秘話」
相良嘉美
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色々読んだなかで、一番面白かったのが
この本!
長谷川香料(株)で、
47年間勤務された相良嘉美さんの本です。
読む前は、
香料の会社でのお仕事にまつわる話とか、
香料業界について書かれているのかと
想像していたのですが、
香水に関する歴史や有名調香師、
ローズの歴史、
グラースでの香料商のはじまり、
日本人の香りの感覚、
そして、
日本でも天然香料の生産を増やすことで、
農工連携を図り、地方創生に役立てないか、
という提言もあり、
「香水」って、これほどまでに
多岐にわたる世界とつながっているのかと
驚かされた一冊でした。
すごく面白かった!
そのなかでも、
わたしは、
香水というと、
純粋にヨーロッパ発祥だと思っていたんですが、
アラブから伝わってきた技術が
もとになっていること、
ローズにしても、イスラムの世界からの
影響だったりという歴史の部分に
興味を持ちました。
キリスト教の花といえば、
「ユリ」を想像しますが、
イスラムからの影響を受け、
次第にローズの存在感が
増してきます。
教会のステンドグラスのバラ窓、
これもイスラムからの影響と知り、
びっくり👀
また、
ペリーが日本に来航した際、
アメリカの品物を幕府要人に贈りますが、
ペリーの判断で香水も添えられたそうです。
これはフランス産の香水だったようですが、
是非にでも香水を添えたいと思うほど、
ペリーにとって、
貿易の重要性を語るうえで必要なものでした。
「へ~」が止まらない!
そして、
文学に登場する香水についても
書かれています。
そのウビガンの香水を三島由紀夫は小説『愛の渇き』に登場させている。
<悦子は田舎ではあまり見られない散らし菊の御召の着物に、すこし短めに誂えた漆の羽織を着て、とっときのウビガンをほのかに薫らせていた。田舎の村祭りに不似合いなこの香水は、明らかに三郎のためのものである。そんなことは知らない弥吉がうつむいている彼女の襟元にまで香水の噴射器を向けたのだった。あるかなきかの肌色の生毛が、ごく微細な香水の滴を宿して真珠いろに光るさまは、比べるものがないほど美しい>
あとは原著をご覧いただきたいが、三島は香水名までは書いていない。想像のチャンスである。ル・パルファン・イデアル、ローズ・フランス、ケルク・フルール、フジェール・ロワイヤル―あなたなら、どれを悦子に薦めるだろうか。
「香料商が語る東西香り秘話」より参照
と、いう箇所を読んで、
慌てて『愛の渇き』を引っぱり出してきました。
あ、あった!
全然気づかなかったなぁ、こんな箇所があること・・・。
最初に読んだ時には、
そもそも「ウビガン」を知らなかった😇
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千夜一夜物語や柳田國男の神樹篇など、
まさに東西の文学が
引用されていて、
この本を読んでいたら、
読みたい本がさらに増えました。
こういった文学との関わりにまで話が及ぶのは、
著者の相良嘉美さんが
東京大学文学部英文学科だったことも関係するのかな、
と思いました。
香水という入り口から、
すごく広い世界を旅した感覚になりました。
ちょうど、
Amazonで「NOSE 調香師―世界でもっとも神秘的な仕事」も見たのですが、
ディオールの専属調香師フランソワ・ドゥマシーもグラースの出身。
グラース、ここは天国ですか?
ってくらい素敵でした。
こちらもおすすめです。
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