「悪魔の封印ー眠る株券」
波多野聖
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1934年、斎藤内閣総辞職。
その発端となった帝人事件を題材とした小説。
そしてこの事件の鍵を握る「番町会」
それは、郷男爵の私邸で、月に一度集まったエリートたち。
定員10名。なぜなら、郷男爵の鎌倉彫のテーブルは、10人掛けだったから。
日本の現代史に強い人なら、
「帝人株」
「番町会」
「疑獄」
というキーワードだけで、
この帝人事件を思い出せるかもしれません。
残念ながら私は、
日本史・現代史、
まったくダメです・・・。
なので、
調べながら読みました。
まずは、番町会について。
料理自慢の郷男爵のもとに集まる
内輪のサロンが、
次第に政財界を動かす、
一大勢力へと発展。
影響力が大きくなると同時に、
攻撃の対象となり、
帝人事件に繋がっていきます。
集まった主なメンバー。
この他にも、色々な人を招いたようですが、
基本的には10名。
なんかすごい大物ばかり。
これで内輪のサロンって言われても~😅
(↓こちらのサイトを参考にさせていただきました🙇)
そして、帝人事件について。
帝人株をめぐる贈収賄疑惑で、
番町会のメンバーや銀行の頭取、
大蔵省の次官など
多くの人が逮捕され、
内閣総辞職にまで追い込まれたのに、
株の売買はあっても賄賂に使われた
証拠がなく、
最終的には全員が無罪
と、なった事件です。
ちょっと
「藪の中」のような事件だったのです。
で、
「悪魔の封印ー眠る株券」は、
この帝人事件を題材とした小説、
ということになります。
私は、
日本の現代史、
全く勉強していなかったので、
初めて知ることばかりでした。
小説なので、
どこまでが事実で、
どこからがフィクションなのか
わからず、
ちょっと混乱。
実際この事件自体は、
正直よくわからなかった・・・。
なので、
この小説を読んで、
印象に残っているところが、
事件とは全然関係のないところ😁
特に、
郷男爵が
鎌倉彫のテーブルを
注文するところと、
星岡茶寮での
魯山人のお料理。
優雅だなぁ😍
この本も読みたい。
そして、
郷男爵の東京株式取引所について、
(東京証券取引所の前身)
相場師・天一坊こと松谷元三郎との、
駆け引き、
鈴木商店の興隆など、
興味を惹かれるところがたくさんありました。
そもそも、
なぜ、この小説を読んだかというと、
前回投稿した大屋政子がスタート。
大屋政子
↓
おとうちゃん
↓
大屋晋三
↓
帝人
↓
帝人事件
という展開で、
「帝人事件」ってなんだろう?
と思って検索したら、
この小説に辿り着きました。
偶然の出会いだったけど、
日本の現代史、
今からでも勉強しよう!
と刺激を受けた一冊となりました。
そして、
本日(2022年4月4日)、
東京証券取引所は、
市場再編の日です。
「東証1部」
「東証2部」
「マザーズ」
「ジャスダック」
から、
「プライム」
「スタンダード」
「グロース」
へと、再編されます。
長い間、
東証一部は、
大企業・安定の代名詞でした。
この区分の変更は、
慣れ親しんだ社会のラベルが一変するようで、
新しい世界になる楽しみと、
ほんの少しの寂しさを感じます。
東京証券取引所の前身である、
郷男爵の東京株式取引所についても
描かれているこの小説は、
今日にぴったりの一冊ではないかと思います。
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