「最後の錬金術師 カリオストロ伯爵」
イアン・マカルマン著
藤田真利子訳
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想像するのは、
「ルパン三世 カリオストロの城」
もしくは、
アルセーヌ・リュパン・シリーズ。
日本でもお馴染みのカリオストロ伯爵。
カリオストロ伯爵。
あ~、なんて怪しい響きなんだろう。
こんなにも怪しい雰囲気の人も珍しい。
でも、何をしている人かは、わからない。
何で怪しいのかも、わからない。
もやもや~としたイメージだけで、
ただただ「怪しい」・・・。
知っているようで知らないカリオストロ伯爵。
この本では、
シチリア島パレルモのジュゼッペ・バルサモが
如何にしてカリオストロ伯爵となり、
死によって永遠のものとなったかを、
歴史学者イアン・マカルマンが辿っています。
まず、最初に驚いたのが、
本名はジュゼッペ・バルサモで、
「カリオストロ伯爵」というのは、
勝手に自分で名乗っていた、ということ。
本当の「伯爵」じゃなかったの~😲
てっきり、お金持ちの「伯爵」が、
道楽というか、暇つぶしで、
ちょっと怪しい趣味を持っていた、
というイメージだったんですけど・・・。
全然違いました😅
わたしも今日から伯爵夫人って名乗れば、
伯爵夫人になれちゃうってことですね😁
美しい妻のセラフィーナとの二人三脚で、
スペイン、イギリス、ラトヴィア、ロシア、
ポーランド、ドイツ、フランス、スイスと
旅をする過程で、
「カリオストロ伯爵」が、
できあがっていきます。
貴族からは金品を巻き上げる一方、
庶民には無料で治療を施し、
行く先々で熱烈に歓迎されますが、
次第に、怪しまれ、
追われるように次の土地、
また次の土地へと転々とします。
カサノヴァからエカテリーナ女帝、
さらには、
マリー・アントワネットまで、
関わる人物が、超豪華です。
マリー・アントワネットの首飾り事件。
「女性版カリオストロ伯爵」のような、
ジャンヌとの対決もすごかった!
カサノヴァもジャンヌも、
カリオストロ伯爵に負けず劣らず怪しくて、
この時代のヨーロッパは、
まだ混沌としていたんですね。
カサノヴァがカリオストロ伯爵について
書いている個所が面白いです。
カサノヴァは書いた。「彼が無知なことを言うと、みな彼を賢いと考える。どんな言葉もまともにしゃべれないから説得力があると言う。けっして自分を説明しないから人々が理解する……話し方や振る舞いが粗野なので高貴だと信じる。どこから見ても嘘つきに見えるから誠実だと思われる」
「最後の錬金術師 カリオストロ伯爵」より参照
山師の先輩カサノヴァから見ても、
カリオストロ伯爵には不思議な魅力があり、
この魅力で、スラムから王宮まで、
自由自在に、出入りできたのでしょう。
また、イギリスでフリーメイソンに入会したのを皮切りに、
フリーメイソンの世界でもメキメキと頭角を現し、
ついには、
エジプト派メイソンの
創設者にして指導者であると名乗っています。
(フリーメイソン!
これまた怪しいですね。
当時のフリーメイソンの種類や活動なども、
詳しく書かれていて、
禁止されていたとはいえ、
フリーメイソンって意外と
一般的だったんだなぁ、と思いました。)
シチリアのジュゼッペ・バルサモから、
僅か数年で、
カリオストロ伯爵となり、
ヨーロッパ中を、
駆け巡りました。
だからこそ、ローマで投獄された後、
なんで無理にでも抜け出さなかったのかと
不思議に思ったのですが、
読み終わってしばらくしてから、
やっぱり、これ以上の最後はなかったのかな、と
思いました。
カリオストロ伯爵も、
2022年の極東の島国で、
今もなお、その名が轟いていることを知ったら、
望みは叶ったと
満足しているのかもしれません。
カリオストロ伯爵は罪人なのか聖人か?最低の悪党だったのか、偉大な神秘の治療者だったのか?
「最後の錬金術師 カリオストロ伯爵」より参照
この問いは、
他の歴史上の人物のように、
見る人によって印象は違うと思うので、
答えは色々だと思いますが、
わたしが、
この本を読んで、
頭に浮かんだことは、
ジュゼッペ・バルサモは、
典型的な第二子なんじゃないか?
ということです。
一七八六年にゲーテがパレルモを訪れた記念のプレートは町中にあふれている。そのゲーテは、ジュゼッペ・バルサモの母親と姉に会い、世界中に、カリオストロは詐欺師で悪党だと宣言した。そして、ゲーテの見解が広まった。
「最後の錬金術師 カリオストロ伯爵」より参照
と、いう箇所があります。
他にも一か所、
「姉から金を借りる間もなく・・・・」という箇所もあり、
ジュゼッペ・バルサモには、姉がいたことがわかります。
当時なら子だくさんの時代だと思うので、
ほかにも兄弟がいた可能性はありますが、
この本を読む限り、姉が一人いるだけです。
そこから、
ジュゼッペ・バルサモは第二子なのだと、私は予想しました。
なぜ第二子ということが気になるかというと、
以前、このブログでも紹介した
カール・ケーニッヒの
思い出したからです。
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カール・ケーニッヒは、
家族構成の中での位置は単なる偶然の結果ではなく、まったくその逆です。私たちひとりひとりにとって、出生順序は、運命により割り当てられた人生計画にしたがって選ばれたものだと言えましょう。
「子どもが生まれる順番の神秘」より参照
と、書いています。
そして、第一子と第二子については、天地創造に
描かれているカインとアベルが、その原型としています。
カインが兄でアベルが弟です。二人はめいめいの捧げ物を神に捧げます。ところが、アベルの奉納物は受けいれられ、カインの物は拒否されます。「カインが弟アベルに言葉をかけ、ふたりが原野についたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。」人類のこの歴史的な瞬間に、第一子と第二子の不変の課題がありありと示されました。どの第一子も自分の肩にカインの宿命をになっています。すべての第二子は、神には受け入れられても地上的に不調和であるというアベルの宿命をになっています。
(中略)
聖書は人類最初のふたりの兄弟の特徴を大変象徴的に描いています。カインは「地を耕すもの」であり、アベルは「羊飼い」でした。
(中略)
アベルは夢見る人です。自分の感情と感傷に心を向けていて、その声をきこうとしています。そして心のおもむくままに行動し、この世に生まれる前の王国に戻りたいと思っています。アベルが興味を持つのは、この世や、この世で必要なことや、宿命のようなものではなくて、あらゆる存在を超越した世界にたいしてであり、そこに心を馳せるのです。
カインは現世を変革することに関わっていますが、アベルは現世を超越しようとしています。カインの関心は現世の仕事ですが、過去に耳を傾けるアベルは、いつも未来に備えようとしています。このことのなかに、真実の意味、ーーーカインの奉納物が拒否され、アベルのものは受けいれられたーーーがあります。カインの場所はこの地上であり、果実やそのほか彼が捧げる物の煙は、その生まれ故郷の地面に戻されます。アベルの捧げ物が受けいれられるのは、アベルの場所が地上ではなくて、霊の世界だからです。
「子どもが生まれる順番の神秘」より参照
と、あります。
ジュゼッペ・バルサモと
彼が創り出した「カリオストロ伯爵」は、
まさに
アベル。
アベルそのものです。
アベルがアベルらしく生きるとこうなる、
という見本のようです。
そして、
カリオストロ伯爵からインスピレーションを受けたり、
共鳴する人も、また、第二子なのではないかと思います。
宮崎駿監督も、
モーリス・ルブランも
第二子です。
ちなみに、
カリオストロ伯爵は詐欺師で悪党だと宣言した
ゲーテは第一子。
ただの偶然で、わたしの妄想にすぎませんが、
もし、
「カリオストロ伯爵とは何者だったのか?」
と、問われたら、
カリオストロ伯爵(ジュゼッペ・バルサモ)は、
「アベル」だったと、
わたしは答えたいと思います。
この本は図書館で借りたのですが、
面白かったので、購入したいと思い、
Amazonを見たら、
「試し読み」が、すごい太っ腹で、
「試し読み」を読むだけで、
大事なところを網羅できるほどなんです!
こんなに長い「試し読み」、
初めて見ました~😵
香水は、
カリオストロ伯爵がリフレッシュするために作った香水。
甘い香り💗
気分は一瞬で、18世紀のヨーロッパに!
ちょうど4月24日(日)まで、
イースターのキャンペーン中で、
イースターエッグも頂きました!
ハーブキャンディーが入っていましたよ~😋
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