2020年10月3日土曜日

「メリー・ポピンズは生きている 現代英国ナニー事情」

 



「メリー・ポピンズは生きている 現代英国ナニー事情」

秋島百合子 著


メリー・ポピンズは生きている?現代英国ナニー事情

新品価格
¥7,749から
(2020/10/9 10:55時点)

フリー・ジャーナリストの秋島百合子さんが、

イギリスで通いのナニーを雇った体験記です。

歴代3人のナニーを雇い、日本への一時帰国にも同行してもらっています。

リアルなナニー事情満載です。


「現代」とありますが、1980年代のイギリスです。


そして、それよりさらに昔は、

ナニーと言えば上流階級が雇うものでしたが、

1980年代当時、

専門的な仕事を持つ女性にも、

需要が広がり、

次第に上流階級のみの習慣ではなくなってきたこと、

またナニー自体も変化してきていることを指して、

「現代英国ナニー事情」としています。


さらに、

昔ながらの上流階級流のお屋敷に、

住み込みで仕えていた、

「オールド・ファッションド・ナニー」

についても、

様々なインタビューがあり、

どのエピソードもすごく面白い💖💖💖



ダイアナ妃の元ナニー、

ジャネット・アディソンさんとのインタビュー。

  

 そしてナニーというのは、やはり、イギリス独特のものなのだろうか。

 「そうですよ。他の国のベビーシッターやチャイルド・マインダーとは全然ちがいます。オーペアとも違う。ノーランド(イギリスで一番有名な、保母養成のための私立寄宿舎学校)などで訓練されたか、私のように経験を積んでいないといけないんですもの」


つい数年前まで、 「オールド・ファッションド・ナニー」が家に住んでいた、

という20代の女性。

 

「末っ子だった今六十四歳の父が生まれたときには、ナニーはもうずっとうちに住んでいました。父が大きくなっても、次の世代まで待っていたの。私は、五人きょうだいの真ん中で、生まれたときから十二歳まで見てもらいました。ナニーが六十歳から七十二歳のときです。年を取って、太ってて厳しかったけど、でもは優しかった。そりゃあもちろん、しっかり気持ちはつながるものよ。母は仕事はしていません。ナニーは引退したあとも、亡くなるまでうちのコッテージに住んでいたから、おばあちゃんみたいな存在でした」 


そして、当時のセーラ妃が選んだナニーの養成所、

プリンセス・クリスチャン・カレッジ。

校長先生のミス・マクレイ。

「茶色の制服には理由があるんです。我が校が創立された今世紀初頭は、上流階級の使用人の制服が色別になっていて、メードは黒、ハウスキパーは紺かグレーだったので、彼らとは『別格』であるということを示すために茶色になったのですよ 」

 ちなみに、この本の裏表紙は、

このプリンセス・クリスチャン・カレッジの生徒さんです。


話は前後しますが、

ダイアナ妃のナニーをしていたジャネットさんをインタビューした

「ダイアナ妃のナニーにあった!」

という章で、面白い箇所があったので、

ちょっと長くなりますが、引用します。


 ジリー・クーパーという人気ジャーナリストが、イギリス社会をユーモラスに分析した『クラース(階級)』という本を一九七九年に出版して、超ベストセラーになったが、そのなかの「ナニー」という章で、例の『ナニーの興亡』から知恵を借りている。


 それによると、イギリスの上流階級と労働者階級を比較してみた結果、タフさ、外国人嫌い、世論嫌い、競馬とギャンブルへの情熱、そして率直な話し方と、単純でこね回していない食べ物を好むことにおいて、共通していることがわかるが、その理由は、支配階級が、過去二百年にわたって、労働者階級のナニーのみに育てられてきて、親は、育児の責任から逃れてきたからだというのである。 


 たしかに、ナニーの好む食事、ライフスタイル、価値観が、上流家庭の子どもの生活を大きく支配してしまうところはある。それが、その人の一生のある面を決定してしまうといっても、いいすぎではない。


  そして、ダイアナ妃も例外ではなかったのが、一日のうちの、ある大切なひとときだ。


  「ティーのあと、ドゥローイング・ルーム(大きな家の、立派な客間や客室)で、おかあさまにお会いするんです。一時間くらい、一緒に遊んでいただいて、このときが、ナニーの唯一の自由時間なんですよ。このあとお風呂に入って、ダイアナとチャールズは六時半、セーラとジェーンは八時に寝ました」


 母親との接触は、一日にたった一時間⁈こういう上流の生活は、聞いたり、読んだりしたことはあるけれど、実際にはなかなか信じられなかった。 

 

と、ナニーを通して、イギリスの文化も垣間見えました。



この本を読み終えて、現在のイギリスのナニー事情はどうなんだろう、

と考えた時、

真っ先に浮かぶのが、

ウィリアム王子夫妻の王子・王女をお世話している

ノーランド出身のマリアさん💖💖💖

画像:フィガロジャポンより参照

きっとすごく優秀な方なんでしょうね😍😍😍

ニューズウィーク日本版の記事

『英王室のお墨付き「ポピンズでボンド」な教育のプロを輩出するノーランド・カレッジで教えられること』

によると、ノーランドでは、

 裁縫や料理や栄養学といった昔ながらの教科に限らず、護身術やサイバーセキュリティー、運転中に自動車がスリップした際の制御法まで教えている。(中略)ノーランド出身のナニーはメリー・ポピンズであり、ジェームズ・ボンドでもある。

とあります。

 (イギリス)国外での仕事では年収が10万ドルを超えるケースもある。イギリス国内で働く場合でもかなりの収入が期待でき、経験が浅くても年収4万ドルに達する人も少なくないという。

そして、

 同校の年間の学費は1万5000ポンド(約215万円)を超える。

そうです。

  私自身も育児中、何度も

「あー、私にもメリー・ポピンズが来てほしい😢」

と思ったので、この本を読んだのですが、

ナニーを知るにつれ、

私がナニーの勉強しておけばよかったー😂😂😂

と、猛烈に思いました。



0 件のコメント:

コメントを投稿